2025年1月21日
介護保険料の滞納に伴う保険給付の制限について
給付制限の趣旨
介護保険制度は、社会連帯の考え方に基づき、被保険者相互が負担能力に応じて保険料を 負担し合うことによりその財源を賄っています。
保険料の納付がないと介護保険制度を維持していく上で、大きな支障となります。仮に、保険料を滞納している被保険者が通常どおり保険給付を受け続けることがあれば、被保険者間の公平感を損なうものであり、他の被保険者の保険料納付意欲を減退させることにもなります。
そのため、介護保険法では、特別な理由もなく長い間保険料を納付しない被保険者に対し、介護保険サービスを利用した際の保険給付を制限すると規定されています。
給付制限の内容
介護保険料を長期間納付していない被保険者に対し、未納期間に応じて以下のような給付制限措置がとられます。
※介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)のサービスは、給付制限措置の対象となりません。
給付制限の種類
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適用の原因
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措置の内容
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適用期間
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備考
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1 支払方法の変更(償還払い化)
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納期限から1年以上保険料を滞納
注1
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サービス利用の際、いったん全額(10割)を負担
注2
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原則未納が解消されるまで
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補足給付(負担限度額認定)も償還払いの対象となる
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2 保険給付の支払の一時差止
3 滞納保険料の控除
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償還払い化の措置がされ、かつ納期限から1年6か月以上保険料を滞納
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償還払い分の保険給付が差し止められ、滞納保険料が控除される
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原則未納が解消されるまで
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4 給付額減額
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保険料を2年以上滞納し、かつ保険料徴収権消滅期間(時効の期間)がある
注3
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サービス利用時の自己負担が3割または4割負担となる
注4
注5
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保険料徴収権消滅期間に応じた期間
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高額介護サービス費や高額医療合算、補足給付も支給されない
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(注1)被保険者証(第三面)の給付制限の欄に「支払方法の変更」の記載を原則として要介護認定等の際に行います。
なお、支払い方法の変更の措置開始日は、証交付日の属する月の翌月1日となります。
(注2) 保険給付対象分については、後日、被保険者本人の申請に基づき、償還払いとなります。
また、対象者が介護保険施設に入所している場合は、入所時の食費、居住費(滞在費)についてもいったん基
準費用額を自己負担し、後日、申請により償還払いとなります。なお、保険外の負担(日常生活品費等)につ
いては、通常の方と同様です。
(注3) 居宅介護サービス計画費(介護予防サービス計画費)については、自己負担がないため10割が保険給付とし
て居宅介護支援(介護予防支援)事業者に支払われます。
(注4) 被保険者証(第三面)の給付制限の欄に「給付額の減額」の記載を原則として要介護認定等の際に行います。
なお、給付減額措置の開始日は、証交付日の属する月の翌月1日となります。
(注5) 給付減額措置時の負担割合は、通常の自己負担が1割または2割となる被保険者は3割負担、 通常の自己負担
が3割となる被保険者は4割負担となります。
事業者の皆様にご留意いただきたいこと
♦被保険者確認の徹底について
被保険者はサービスを受ける際にその都度、事業者に被保険者証を提示することが義務づけられています(介護保険法施行規則第63条)。それにも関わらず、給付制限の記載が見逃され、国保連の審査で返戻となってから気づかれるケースがないようにご注意ください。
円滑な事業運営のため、サービス提供時、費用徴収時には、必ず被保険者証を確認し、給付制限に関する記載がある場合は、利用者からの利用料徴収方法を間違えないようにお取り扱い願います。
償還給付の申請について
保険給付の支払方法の変更措置を受け、サービス利用時に全額自己負担した(10割分を支払った)被保険者が償還給付を申請する際には、次の書類が必要となります。
- 介護保険被保険者証
- 振込先の口座番号が確認できるもの
- 領収書
- サービス提供証明書
(注意)居宅介護サービス計画費の申請の場合は「給付管理票」も必要
サービス費等支給申請書(償還払用)(Wordファイル)