施政方針並びに施策の大綱
令和5年度 施政方針並びに施策の大綱(PDF 429KB)
新型コロナウイルス感染症、ウクライナ危機、そしてトルコ・シリア地震と、世界中の人々の生命、暮らし、経済に甚大な影響が生じております。我が国においても、コロナ禍の人流抑制によって観光産業を中心に大きな打撃を受けていることに加え、世界的な物価高騰や歴史的な円安により、国民生活や経済活動に苦境が続いています。そのような中、政府は、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」(令和4年10月28日閣議決定)において、日本経済の再生に向け、「物価高・円安への対応」、「構造的な賃上げ」、「成長のための投資と改革」を重点分野として速やかに対策を実行することとしています。また、本年5月には、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類を季節性インフルエンザと同等に見直す方針が示されています。
これまでの3年間、本町では、ワクチン接種を含む感染防止対策、町民生活や事業継続に対する支援、地域経済の回復などに重点的に取り組んでまいりました。これまでに経験したことのない難局に対応してこられたのは、ひとえに町民の皆様や事業者の皆様の多大なるご協力によるものと心より感謝申し上げます。引き続き、ワクチン接種等の感染対策を状況に応じて実施するとともに、物価高騰対策として、生活に困窮されている方などへの支援を継続してまいります。また、コロナ禍で浮き彫りになった格差、貧困などの社会課題をはじめ、人口減少問題、気候変動問題、さらには、地域における公共交通や買い物環境の確保など、ポストコロナ時代に向けて取り組むべき課題は山積しております。これらの課題解決とともに、第11次岩美町総合計画の目指すべき将来像「みんなが笑顔で 住み続けたくなるまち 岩美町」の実現に向け、町民の皆様のご意見を伺いながら、町民と行政の協働により、持続可能なまちづくりを推進してまいります。
令和5年度の町政を進めるにあたり、課題ごとの施策の大綱について申し上げます。
○公共交通について
町民の皆様が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるまちづくりを進めるために、地域公共交通の維持・確保は最も重要な課題のひとつであります。昨年4月には、JR西日本が一部路線の収支を公表し、鉄道の在り方について問題提起がなされました。これを受け、2月10日、JR西日本と県内自治体の間で協定を締結し、持続可能な地域公共交通の実現及び活性化に連携して取り組むこととしたところでございます。
本町におきましては、岩美町地域公共交通計画に沿って、バス利用者の負担軽減や効率的な運行方法への見直しなどを検討してまいりました。本年10月から、運賃均一制の導入として、町営バスの運賃を一乗車100円にするとともに、民間路線バスの利用についても同様の負担となるよう、町内移動にかかる定期券・回数券の購入費を助成します。
また、町営バス小田線では、朝夕を除く時間帯におきまして、電話等で予約いただいた便のみ走らせる定路線基本ダイヤ型デマンド運行を取り入れるほか、より集落に近い場所で利用いただけるようバス停を増設するなど、利便性の向上と運行の効率化を図ります。このほか、買い物便の増便や冬季運行時刻の設定も予定しており、より多くの方に利用していただけるよう見直しを行ってまいります。
集落周辺に公共交通機関のない地域につきましては、アンケート調査等によりニーズの把握に努め、地域の状況に合わせた対策を検討してまいります。
JRの利用促進につきましては、高齢者の外出促進にもつながるよう、老人クラブの皆様が山陰海岸ジオパークエリアにお出かけされる際、鉄道運賃を全額助成します。
公共交通が地域の実情に合った形で持続的に確保されるよう、利用者の皆様の声をお聞きしながら取り組んでまいります。
○子育て支援について
全ての子どもの基本的人権が保障され、幸福な生活を送ることができる社会を目指す「こども基本法」が来月施行されます。本町では、子どもに関する施策を着実に推進するため、機構組織を見直し、本年4月から「子ども未来課」を新設します。引き続き、妊娠期から出産・子育て期まで切れ目のない支援を行うとともに、保健師、助産師によるきめ細かな相談を行う伴走型相談支援と、出産・子育てに係る経済的支援を一体的に実施してまいります。
本年度は、子育て世帯の経済的負担の更なる軽減を図るため、おむつ購入費の助成額を子ども一人につき5万円に引き上げます。また、中高生の通学費につきましては、町内移動にかかる公共交通の定期代を全額助成するとともに、町外の学校に通う生徒に対しては、1か月あたりの保護者負担額を3千円に引き下げます。さらに、支援が必要なひとり親家庭の経済的負担を軽減するため、医療費を無償化するとともに、小中学校の入学支度金に加え、中学校卒業時においても進学・就職のための支度金を支給します。
家庭環境、養育環境は様々であり、子どもの虐待リスクやヤングケアラーと呼ばれる状態が心配される家庭に対しては、支援員が訪問して子育てに関する情報の提供や家事・育児等の支援を行う仕組みをつくります。
次代を担う子ども達が笑顔で健やかに成長できるまちを目指し、子育てに関する現状分析やニーズ調査を行いながら、令和7年度からの「第3期岩美町子ども・子育て支援事業計画」の策定を進めてまいります。
○デジタル化の推進について
地域の社会課題を解決するための鍵となるデジタル技術は、行政事務や行政サービスの効率化だけでなく、町民の皆様にその利便性を享受していただけることが重要であります。
本年度は、町営バスのデマンド交通システムを導入するほか、町民体育館及び町民総合運動場のご利用にあたり、空き状況の確認や予約をスマートフォンで行っていただけるよう、オンライン施設予約システムを導入します。
情報発信の取組につきましては、ホームページやSNSに加え、情報発信アプリ「岩美ナビ」によりプッシュ型の情報発信に努めていますが、更なる充実を図るため、町のLINE公式アカウントの機能を強化するとともに、地域おこし協力隊制度を活用して多彩な視点で情報発信を行う専門人材を配置します。また、デジタル技術を活用しながら町民の皆様のご意見を伺う機会や情報共有の方法を一層充実し、協働のまちづくりを深化させてまいります。
○文化・交流の促進について
本年5月に本町出身の作曲家・田村虎蔵氏の生誕150周年を迎えます。数々の唱歌を生み出した偉人を顕彰するため、町民の皆様と共に記念事業を開催します。同じく、本町出身の文学家・尾崎翠氏を顕彰するシンポジウムの開催を支援するなど、町民の皆様に芸術・文化に触れていただく機会を創出します。
また、本町がロケ参考地となっているテレビアニメFree!が放送開始から10周年を迎えます。これを機に、より多くのアニメファン・岩美町ファンの皆様にお越しいただけるよう、AR(拡張現実)等の活用により町内周遊を促す取組を支援するとともに、ファン参加型のフォトコンテスト等を通じて交流を広げます。
国内交流につきましては、昭和60年の「鳥取わかとり国体」、昭和62年の「沖縄海邦国体」を契機に、沖縄県国頭村との児童交流が始まりました。この関係を発展させ、多方面での連携を通じて両町村の活性化につなげるため、本年度、友好都市の協定を締結します。
○教育について
町民の皆様が生涯にわたり学習や運動、文化に親しむ機会を確保できるよう、「まちづくりは人づくり」の理念のもと、教育の充実に努めてまいります。
学校教育では、次代を担う子ども達が急速に変化する社会を力強く生き抜いていくための能力を育むことができるよう、学校運営協議会と連携しながら、引き続き、地域の特色を活かした教育活動を推進するとともに、小中学校全学年での30人学級編制を継続し、児童生徒一人ひとりに寄り添った指導を行ってまいります。
また、中学校では、グローバルに活躍できる人材を育成するため、タブレット端末を活用し、外国人講師から1対1の指導を受ける英会話学習を取り入れます。
学校給食につきましては、食材費の高騰による保護者負担を軽減するため、上昇分に対する助成を継続するとともに、給食センター設備の保全を図りながら、安全安心な給食を提供してまいります。
岩美高校との連携につきましては、昨年配置した2名の魅力化コーディネーターを中心に、地域と連携した探究型学習や学校の魅力発信を充実してまいります。また、親元を離れて本町で暮らす生徒のための下宿先の整備費用の助成や、部活動強化の取組への支援など、高校の存続に向けた魅力的な学校づくりを支援してまいります。
社会教育につきましては、社会活動の様々な場面で活用されるデジタル機器の基本的な使い方を学んでいただけるよう、中央公民館を拠点に講座を開催します。
カキツバタの成育環境が悪化している唐川湿原につきましては、日照確保や獣害防止の対策を講じるとともに、大学等と連携し、天然記念物の適正管理に向けた調査を進めます。
また、全ての人が尊重される共生のまちづくりに向け、人権教育推進協議会の活動を基盤として、町民の皆様の人権意識の向上を図ります。加えて、性別に関わりなく、その個性と能力を発揮できる社会の実現のため、引き続き、講演会等による啓発活動や、事業所等におけるワーク・ライフ・バランスを推進してまいります。
○移住定住・住環境対策について
岩美道路の整備に伴い、町内では宅地や商業地の造成が進んでおり、定住人口の増加と地域活性化が期待されます。
とりわけ地域の担い手となることが期待される若者の移住定住につなげるため、住宅新築助成や新婚世帯の家賃補助など、引き続き、若者世帯、子育て世帯等に重点を置いた支援に取り組んでまいります。
人口減少、少子高齢化により、活力の低下が懸念される集落等につきましては、集落の点検や話し合いを促し、地域の活性化につなげるための支援を行う集落活性化推進員をモデル的に配置します。
町営住宅につきましては、建替えを進めている「高畔団地(岩井地内)」の工事に着手する計画であり、高い省エネ性能を備え、高齢者等の見守りにも配慮した住宅を整備してまいります。一方、老朽化により未利用になっている団地につきましては、売却等により遊休資産の整理を図り、跡地の有効活用を行います。
○防災・空き家対策について
トルコ・シリア地震では、脆弱な建物の倒壊が多くの尊い人命を奪っています。引き続き、耐震診断及び耐震改修、ブロック塀の撤去等により、震災に強いまちづくりを進めます。加えて、近年、突風や強風による被害が後を絶たないことから、新たに、屋根瓦の風害対策を支援します。
災害発生時において、自助・共助による迅速な避難行動につなげるため、引き続き、要配慮者台帳、個別避難計画の作成・更新を促進するとともに、地域における防災活動の核となるリーダーを育成するため、自主防災組織が取り組む防災士の養成を支援します。また、避難所におけるアレルギー対応食のゼリーの備蓄やワンタッチ式の室内テントの整備など、いざというときの備えを充実してまいります。
本年4月から新たな体制となる消防団につきましては、団員報酬等の処遇改善に加え、消防分団の円滑な運営を支援するとともに、消防ポンプ車の運転に必要な準中型運転免許の取得を促進します。また、老朽化した小型ポンプ積載車を計画的に更新し、活動体制の強化を図ります。
放置されたまま危険な状態となっている空き家につきましては、相続人や所有者を迅速に特定し、撤去を促してまいります。利活用が可能な物件については、空き家バンクへの登録を呼びかけ、危険な状態になる空き家を増やさないよう、自治会等の協力をいただきながら取り組んでまいります。
○道路整備について
地域高規格道路・山陰近畿自動車道の一部区間として整備が進められてきた岩美道路は、浦富インターチェンジから東浜インターチェンジ間の3.8キロメートルが3月12日に全線開通の運びとなりました。近隣地域との連携や交流がさらに進み、交流人口の増加につながることが期待されます。
県道整備につきましては、網代港岩美停車場線における田後地内の橋梁新設や、浦富及び新井地内の道路拡幅が継続して進められます。
町道におきましては、落石の影響により一部区間を全面通行止めにしている町道陸上中央線の早期復旧に向けて測量設計を実施するほか、長郷橋ほか5橋の橋梁補修や町道横丁沖線の道路改良などを計画しております。
引き続き、国や県との連携を一層強め、必要な道路整備財源の確保について関係機関に強く働きかけるとともに、安全で快適な道路環境の整備に取り組んでまいります。
○上・下水道について
上水道事業につきましては、令和2年度から事業を進めている陸上浄水場の更新について、本年度内の供用開始に向けて整備を進めるほか、老朽化している池谷浄水場の更新に着手します。
下水道事業につきましては、各浄化センターやマンホールポンプの機械・電気設備の更新を進め、施設全体の保全や長寿命化を図ります。また、令和6年度からの地方公営企業法の適用に向けた準備を進めてまいります。
集合処理区域外におきましても、生活排水による水質汚濁の防止を一層推進するため、合併処理浄化槽への転換にかかる補助金の対象経費を拡充します。
○環境対策について
ごみの減量化を図るため、引き続き、ストックヤードでの布団、衣類のリサイクル回収に取り組むとともに、コンポスト、生ごみ処理機の購入助成を行います。
地球温暖化対策につきましては、2月から運用を開始している電気自動車用急速充電器により電気自動車の普及促進を図るとともに、再生可能な自然エネルギーの活用を促進するため、家庭用発電設備や蓄電池の導入に対する支援を継続してまいります。
また、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」の実現に向け、町全体での取組を議論していただく委員会の立ち上げを検討します。
○保健・医療について
岩美病院は、地域の基幹的な医療機関として、安定的な地域医療サービスを提供するとともに、新型コロナウイルスのような新興感染症への対応においても重要な役割を果たしています。今後も地域や医療圏において必要な医療提供体制を持続することができるよう、病院間の役割分担や連携強化等を推進するための経営強化プランの策定について、町民の皆様のご意見をいただきながら進めてまいります。
各種検診事業につきましては、がんや生活習慣病の早期発見・早期治療につなげるため、医療機関で受ける肺がん検診の自己負担を無料にします。また、国民健康保険加入者が受ける特定健診では、結果から算出された健康年齢をお知らせすることにより、健康意識と受診率の向上を図ってまいります。
また、本年度は、第3次健康づくり計画の最終年度となることから、アンケート結果や各種検診の受診結果を基に町民の皆様の健康状況やその課題を分析し、次期計画に反映させてまいります。同様に、自死対策につきましても、令和6年度からの対策を計画にまとめ、こころの悩みを抱えている方やその家族が必要な支援を受けられるよう取り組んでまいります。
○地域福祉について
長引くコロナ禍と物価高騰により、生活や住まいに不安を抱えられる方は多く、継続した支援が必要であります。
生活困窮世帯等における物価高騰の影響を緩和するため、光熱費の助成を継続するほか、経済的な問題をはじめ多様化・複雑化する生活問題に対して包括的な支援を行うため、岩美町社会福祉協議会と連携を図りながら、自立相談・就労準備・家計改善の一体的な支援を実施してまいります。
障がい者福祉につきましては、聞こえない・聞こえにくい方のコミュニケーション支援を充実するとともに、ガイドブックを作成し、障がいのある方が必要な福祉サービスを円滑に受けられるよう取り組みます。引き続き、岩美町障がい福祉計画に基づき、それぞれの状況やニーズに応じた支援を行ってまいります。
○高齢者福祉について
介護保険は、「地域包括ケアシステムの充実・強化」を重点とした第8期介護保険事業計画の最終年度であります。身近な地域で行われる高齢者の生きがいづくり・健康づくりに向けた活動を支援するなど、地域で支え合う体制づくりを進めるとともに、状況に応じて必要なサービスを提供できるよう、町民の皆様のご意見を伺いながら次期計画を策定してまいります。
本年度は、聴力機能の低下により日常生活に支障のある65歳以上の方に対して補聴器の購入を支援し、閉じこもりや認知機能の低下等を防ぐとともに、積極的な社会参加を促します。
○農業振興について
農業を取り巻く情勢は、農業者の高齢化や後継者不足による担い手の減少、イノシシ、シカによる獣害、米価の低迷など、依然として厳しい状況にあります。さらに、生産資材の高騰に伴い、より深刻な状態が続いています。
本年度は、肥料価格高騰の影響を受ける農業者を支援するほか、町内の畜産堆肥を散布する取組を支援し、堆肥の利用促進と合わせて化学肥料の低減に向けた取組を進めてまいります。
また、今後も米消費の減少が見込まれる中、主食用米から飼料用米への転換に対する助成を継続するとともに、新たに、そばの作付けを支援対象に加え、転作作物として推進してまいります。
引き続き、新規就農者、後継者の育成、新規雇用に対する支援を実施しながら担い手の確保を図るとともに、農地中間管理事業による農地の集積、集約化を進めてまいります。
有害鳥獣対策につきましては、捕獲奨励金の交付による捕獲促進や被害防止柵の設置を支援し、鳥獣被害の防止対策に継続して取り組みます。
○林業振興について
森林の適切な整備等は、森林の有する公益的機能の発揮や景観の保全につながる一方、森林所有者の高齢化や木材需要の低迷などが課題になっています。
本年度は、主伐・新植・林業専用道の整備といった森林整備や木材搬出に係る機械導入などを支援し、林業の活性化と木材の利用拡大を促進してまいります。
また、林道及び集落内道路の安全な通行を確保するため、老朽化した林道橋の改修を進めるとともに、集落が実施する危険木の伐採を支援します。
そのほか、海岸部における枯れ松を計画的に伐採し、景観の維持に努めるとともに、本年5月に本町で開催する鳥取県植樹祭などを通じ、森林づくりの重要性を発信してまいります。
○水産業振興について
本町の基幹産業である水産業は、漁業者の高齢化や担い手不足、水産資源の減少など、依然として厳しい状況にあります。
引き続き、関係機関と連携しながら、新規就業者の雇用支援や水産資源の保護に取り組むとともに、本年度は、網代新港のオイルタンク用消火設備の更新を支援し、水産基盤の保全を図ります。
また、稚魚稚貝の放流や藻場への被害が深刻なウニの除去活動への支援を継続し、豊かな漁場の整備に取り組んでまいります。
○商工業振興について
コロナ禍の地域経済を活性化するために実施した4度のクーポン発行事業は、地域内での経済循環を促し、町内事業所の事業継続を応援してまいりました。昨年末に実施した事業所調査の結果を踏まえつつ、引き続き、関係機関と連携を図りながら、事業継続、創開業等に対する支援を行い、地域経済の安定と発展に向けて取り組んでまいります。
近年、全国的に活況を見せているふるさと納税は、町の自主財源を確保するだけでなく、寄附者への返礼品として町内の特産品やサービスを提供することによる経済効果が期待できます。本年度は、ふるさと納税を増やす取組として、地域おこし協力隊制度を活用した専任職員の配置を計画しており、町内事業者の皆様と協力しながら、寄附者のニーズに応じた返礼品を開拓し、PRを強化してまいります。
○観光振興について
岩美道路の全線開通や新型コロナウイルス感染症の5類への移行、2025年大阪・関西万博と、人の往来が活発になることが期待されます。これを契機にインバウンドをはじめとする観光客誘致をさらに促進するため、様々なメディアを活用して効果的な情報発信を行うとともに、観光看板等の多言語化、新しい体験メニューの造成支援、効果的な宣伝素材の作成など、受入態勢の整備を加速してまいります。
昨年行われたユネスコ世界ジオパークネットワークの再認定審査につきましては、2年間の条件付き再認定という厳しい結果となりました。今後示される課題を改善し、観光地としての更なる魅力化につなげるため、関係機関と連携を強化して取り組んでまいります。
○行財政運営について
多様性が尊重される社会にあって、高度化・複雑化する住民ニーズや様々な社会課題への対応が求められています。重点的な人員配置、的確かつ効率的な行政サービスの提供を念頭に、「子ども施策の充実・強化」「交流人口・関係人口の拡大」「DX(デジタル・トランスフォーメーション)への対応」「関連業務の集約化」などを主眼においた組織機構の見直しを行います。また、地域おこし協力隊などの外部人材を活用することにより、新たな視点を取り入れるとともに、専門アドバイザーを招聘して職員の政策形成能力の育成を図ります。
財政運営につきましては、町税、地方交付税等の根幹的な財源の確保に努めるとともに、ふるさと納税の推進、遊休資産の売却等により自主財源を確保してまいります。また、補助金や有利な地方債、積立基金などを活用しながら、将来に過度の負担を残さないよう計画的に運営してまいります。
コロナ禍においては、従来のやり方では解決できなかった課題が浮き彫りとなり、デジタル技術の活用等によって各分野で社会構造の変化が起きています。ポストコロナの新時代に向けては、社会変化を的確に捉えながら、コロナ禍の経験を踏まえつつ、前例にとらわれない発想・手法で職員一丸となって取り組んでまいります。