施政方針並びに施策の大綱

 
 
 令和4年度 施政方針並びに施策の大綱(PDF 508KB)

 

 

 新型コロナウイルス感染症は、依然として収束の兆しが見えず、感染力の強い変異株の拡大が、町民の皆様の健康や暮らし、事業活動に一層の脅威となっています。皆様におかれましては、感染症に対する不安の中、日々の感染防止対策をはじめ、地域活動の自粛などのご協力をいただいており、改めて感謝申し上げます。
 
 国は、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(令和3年11月19日閣議決定)において、引き続き感染拡大に備えるとともに、ウィズコロナの下で社会経済活動の再開を図り、成長と分配の好循環の実現により、経済を自立的な成長軌道に乗せるとしています。
町内経済におきましては、観光客の減少により特に観光産業への影響が深刻であります。また、米価の下落や原油価格の高騰など、農業者・漁業者の皆様も大変厳しい状況に置かれています。引き続き、感染防止対策に万全を期すとともに、お困りの方への支援を最優先に実施しながら、平穏な日常と地域経済の回復に向け、皆で力を合わせてこの難局を乗り越えていく必要があります。

 本町では、昭和46年に第1次総合計画を策定して以来、これまで町議会をはじめ、町民の皆様のご理解とご協力をいただきながら、10次にわたる総合計画を策定・実行し、一定の成果を収めてまいりました。
 本年度は、町民の皆様と議論を積み重ねながら作り上げた第11次岩美町総合計画のスタートの年であります。目指すべき将来像「みんなが笑顔で 住み続けたくなるまち 岩美町」の実現に向け、人口減少・少子高齢化が進む中にあっても、町民の皆様と行政との協働により、活力あふれる、持続可能なまちづくりに取り組んでまいります。

 令和4年度の町政を進めるに当たり、課題ごとの施策の大綱について申し上げます。


○新型コロナウイルス感染症への対応について
 町内におきましても新型コロナの感染が拡がっており、町民の皆様の生命や健康を守るため、県や保健所等の関係機関と連携しながら、取組を進めております。
 ワクチン接種につきましては、現在、3回目の接種を実施しています。町では、ファイザー社と武田/モデルナ社の2種類のワクチンの供給を受けていますが、1・2回目と異なるワクチンを接種する「交互接種」についても、効果・安全性ともに同様であるとされています。また、児童・生徒への感染が拡がる中、今月、5歳から11歳を対象とした小児用ワクチンの接種も開始します。希望される方が速やかに接種を受けられるよう、医療機関にご協力をいただきながら進めてまいります。
また、町職員に感染者が確認された場合に窓口業務が止まらないよう、中央公民館にサテライトオフィスを設置し、分散勤務に取り組んでいますし、小中学校では、タブレット端末を活用した学習を実践しています。


○医療・保健について
 岩美病院は、町民の皆様の生命と健康、生活を守るとともに、医療圏での役割を果たすため、ワクチン接種、ウイルス検査、宿泊療養施設への医師派遣など、感染症対応に当たっています。引き続き関係機関と連携を図りながら、感染症対応に万全を期するとともに、地域における医療・介護を総合的に提供する「地域包括ケアシステム」の拠点として、診療体制の充実に取り組んでまいります。
 健康対策につきましては、本年度から、人間ドックをより多くの方に受診していただけるよう、助成対象年齢を74歳まで引き上げます。
 また、子宮頸がん予防ワクチンの接種券の送付を再開するとともに、平成25年6月以降、国の方針で接種券の送付が差し控えられていた方にもお届けします。ワクチンの安全性と有効性をご理解いただけるよう、正しい情報の周知に努めてまいります。
 また、今後の健康対策に関する施策や町民の皆様による健康づくりの取組の指針とするため、第4次岩美町健康づくり計画の策定に向け、アンケートを実施します。


○防災対策・消防について
 近年、全国各地で自然災害が激甚化・頻発化しており、自助・共助・公助の考えに基づく防災体制を一層充実する必要があります。引き続き、自主防災組織の設立と組織体制の充実を図るとともに、支援が必要な方の迅速な避難につなげるため、自治会や民生児童委員さん等と連携し、要配慮者台帳、個別避難計画の作成を進めます。
 消防団につきましては、自主防災組織と連携を図りながら、より効果的な組織となるよう、団員定数や処遇を見直すとともに、組織の再編を進めます。
 

○道路整備について
 地域高規格道路「山陰近畿自動車道」の一部区間として整備が進められている「岩美道路」は、浦富インターチェンジから東浜インターチェンジの3.8キロメートルの区間について、本年度中の全線開通に向け、工事が進められています。
 県道整備につきましては、網代港岩美停車場線の田後地内における橋梁新設工事や浦富地内の道路拡幅工事、また、岩美停車場河崎線では、新井地内で道路拡幅及び橋梁新設工事が計画されております。
これら国道・県道の整備につきましては、国や県と連携して、必要な道路整備財源の確保を関係機関に強く働きかけ、事業の促進を図ります。
町道につきましては、町道陸上中央線の落石対策、町道横丁沖線の拡幅改良などを計画しているほか、令和3年度に点検を実施した15m以上の町道橋の長寿命化修繕計画を策定し、道路施設の安全確保と効率的な維持管理につなげてまいります。


○上・下水道について
上水道事業につきましては、令和2年度から事業を進めております陸上浄水場の更新について、令和5年度の完成に向け、本年度から2か年の計画で施設整備を行うほか、引き続き、配水管の布設替など、計画的に耐震化を進めてまいります。
 下水道事業につきましては、施設全体の計画的かつ効率的な維持管理・改築を図るため、東漁業集落排水処理施設の機能診断及び保全計画を策定するとともに、ストックマネジメント計画に基づいた大谷・浦富浄化センターの設備更新、マンホールポンプ場通報装置の更新などを進めます。また、令和6年度から公営企業会計へ移行する準備を年次的に進めてまいります。


○環境対策について
 東部広域行政管理組合が整備を進めている可燃物処理施設「リンピアいなば」は、本年度からごみ処理を開始する予定です。ごみの正しい分別についてガイドブックを作成し、町民の皆様にお知らせするとともに、引き続き、布団、衣類のリサイクル回収やコンポスト、生ごみ処理機の購入助成を行い、ごみの減量化を推進します。
 環境にやさしいまちづくりにつきましては、ポイ捨て防止の監視カメラや啓発看板を増設するほか、飼い主のいない猫の避妊・去勢に地域で取り組む活動を支援するなど、環境衛生・環境美化を一層推進します。また、再生可能な自然エネルギーの活用を促進するため、家庭用発電設備や蓄電池の導入に対する支援を継続するとともに、環境問題や省エネの取組等についての啓発や、地球温暖化対策に関する実行計画の策定に向けて検討を進めるなど、脱炭素社会の実現に向けて取り組んでまいります。


○移住定住・住環境対策について
 地域の担い手として期待される若者の転出抑制とUIJターンの流れを加速させるため、「岩美町に住みたい、住み続けたい」と思っていただける施策に取り組んでまいります。
 住宅への助成につきましては、若者世帯、子育て世帯及び町内事業者が施工する新築住宅を対象に助成額を引き上げるとともに、リフォーム助成を受けてから5年経過した方が再度申請できるよう制度を見直します。また、町内に継続して住まわれている方が新築された場合に、固定資産税相当額の負担を軽減する制度を新たに創設します。
 移住に対する空き家改修費の支援や、Uターンで岩美町に帰ってこられた若者世帯に対する奨励金につきましては、転入前の居住地要件を「町外」に拡げ、岩美町に帰ってきやすい環境を整えます。
 昨年実施した空き家実態調査では、空き家の利活用や解体撤去が進む一方で、それを上回る空き家の発生が確認されました。
 本年度は、空き家の有効活用を目的として空き家活用情報システムへの登録を促すため、登録された物件の固定資産税相当額の一部を最大3年間助成する制度を創設します。また、不用になった空き家については早期の撤去を促すため、空き家の除却にかかる奨励金の交付期間を3年から5年に延長するほか、放置されたまま危険な状態となっている「特定空き家」の所有者等を特定する体制を強化し、所有者に対する助言、指導等を迅速に進めてまいります。
 町営住宅につきましては、旧耐震基準により建設された9団地の建替計画に基づき、今後10年間で建替えや集約化を進めてまいります。本年度は、建設年度が最も古い「高畔団地(岩井地区)」の建替えに向けて実施設計を行います。実施に当たりましては、入居者や地元住民の皆様への丁寧な説明に努めてまいります。


○交通対策について
 地域公共交通は、学生や高齢者など運転免許を持たない方が安心して暮らしていくために欠くことができない移動手段であり、国の方針では、「収益性が確保できない過疎地等においては必要な公的支援も講じ、運送サービスの維持を図る。」とされています。本町においても、「岩美町地域公共交通計画」に沿って、町内の交通資源を効率的に活用しながら、持続可能な交通体系の構築に取り組んでまいります。本年度は、町内のバス移動にかかる利用者負担の軽減を検討するとともに、他の施策についても順次検討を進めてまいります。また、2021年以降、鉄道ローカル線の減便が実施されておりますが、国、県や他団体と協力して地域の利用者の声を伝え、利便性が確保されるよう、引き続き要望を行ってまいります。
 交通安全対策につきましては、県内・町内ともに交通事故件数は減少傾向にある一方、高齢者の交通事故が増加傾向にあります。引き続き、交通事故防止の啓発や免許返納に対する支援などにより、高齢者等による交通事故の防止に取り組んでまいります。


○地域福祉について
 感染拡大の影響が長引く中、生活や住居に不安を抱えられる方が減少していない状況であります。岩美町社会福祉協議会と連携を図り、自立相談支援、就労準備支援、家計改善支援を一体的に実施し、生活に困窮される方の生活が早期に再建されるよう支援します。引き続き、互いに支え合いながら住みよい地域を築いていく「地域共生社会」の実現に向け、第4期岩美町地域福祉計画に沿って相談体制・支援体制の充実を図り、孤独死のないまちを目指します。
 障がい者福祉につきましては、障がいのある方が地域で安心して暮らせるよう、相談や緊急時の受入れ・対応等の支援を行う拠点を東部圏域で共同整備しております。本年度は、聞こえない・聞こえにくい方への活動支援や失語症の方に対する意思疎通の支援を充実するとともに、引き続き、相談・支援体制を確保します。


○高齢者福祉について
 本年度は、岩美病院と連携して行っている地域サロンの実施場所を各地区公民館に拡げるとともに、コロナ禍で閉じこもり傾向にある高齢者を対象とした訪問型の介護予防を引き続き実施します。
 高齢化の進展に伴い、今後さらに増えることが見込まれる認知症の方とそのご家族が安心して生活できるよう、新たにGPS機器の購入助成を行うなど、見守り体制を強化します。また、早期発見のための物忘れ相談を実施し、認知症初期集中支援チームによる早期の段階での支援につなげるとともに、成年後見制度の普及啓発、利用促進に取り組んでまいります。


○協働のまちづくりについて
 まちづくりの主役は町民の皆様であります。計画の策定や施策の立案に当たっては、町民の皆様と情報を共有し、ご意見を伺いながら進めておりますが、第11次岩美町総合計画の初年度となる本年度は、町の取組を知っていただくきっかけとするため、幅広い世代を対象とした、まちづくりに関する検定を開催します。また、町民の皆様と直接意見交換する行政懇談会やまちづくり座談会につきましては、コロナ禍でその機会から遠ざかっておりますが、感染状況をみながら出向いてまいりたいと考えております。
 人口減少が進む中、まちづくりの基盤となる集落の維持・活性化が課題であります。地元負担をいただいております集落環境の整備等につきましては、世帯数が少なく、高齢化率の高い集落に対する負担軽減を継続します。


○子育て支援について
 子ども達が笑顔でのびのびと成長できるよう、第2期岩美町子ども・子育て支援事業計画に沿って取組を進めていますが、本年度は、子育て支援に関するニーズを把握し、これまで実施してきた施策の検証と更なる充実につなげるため、子育てに関する世代別アンケートを実施します。また、母子手帳機能や健診等のスケジュール管理にご活用いただけるスマホアプリを導入するとともに、既存の情報発信媒体も活用しながら、子育て情報だけでなく、災害や感染症等の重要な行政情報を迅速かつ個別にお届けします。
 産前産後の母子に対する支援では、町の子育て世代包括支援センターでの支援に加え、町外の助産施設等の母子デイサービスもご利用いただけるようにして、引き続き妊娠中から出産・育児まであらゆる支援を包括的に行い、子育て世帯を応援してまいります。
 また、結婚を望まれる方に対する支援につきましては、県が運営する「とっとり出会いサポートセンター」による町内での出張相談を月1回開催するなど、出会いの促進に向けた取組を充実してまいります。


○学校教育について
 次代を担う子ども達が豊かな人間性を育み、自立して生きる力を身に付けることができるよう、「まちづくりは人づくり」の理念を継承し、教育の充実に取り組んでまいります。 
 昨年、各小中学校で立ち上げた学校運営協議会では、地域の皆様のご意見をいただきながら、「地域とともにある学校づくり」に取り組んでおり、学校・家庭・地域の更なる連携・協働により、地域の特色を活かした教育を進めます。
ICT活用教育につきましては、タブレット端末等を活用し、効果的に学習を進められるよう、各学校にICT支援員を継続して配置します。さらに、教職員の指導体制の充実や家庭における通信環境の確保を図り、子ども達の情報活用能力の向上、情報モラルの習得などを支援してまいります。
 岩美高校につきましては、入学者数の減少により、令和5年度から、1学年3学級から2学級に削減されます。町の活力の一端をなす岩美高校の存続に向け、魅力向上の取組を引き続き支援するとともに、地域との連携強化を図るため、その企画・調整を担うコーディネーターを配置します。


○社会教育・人権教育について
 社会教育につきましては、町民の皆様が社会的な課題に目を向け、年齢に関わらず主体的に学ぶことができるよう、町立図書館の利用者の声を踏まえた蔵書の整備や、新たにSDGsに関する講座を計画するなど公民館事業の充実を図ります。
 人権教育につきましては、全ての人の人権が尊重され、差別や偏見のないまちづくりを目指すとともに、性的マイノリティなど社会的に少数派の立場に置かれている方の理解を促進する必要があります。地域や学校などあらゆる場面において学習機会の充実と啓発に取り組みます。
 また、男女共同参画の取組につきましては、性別にとらわれない多様な生き方を尊重し、お互いの個性と能力を発揮できる社会を実現するため、講演会やセミナー等による意識の醸成と啓発を図るとともに、職場環境づくりや男性の子育て参画など、ワーク・ライフ・バランスを推進してまいります。


○農業振興について
 農業を取り巻く情勢は、農業者の高齢化及び後継者不足による担い手の減少や、鳥獣被害、米価の大幅な下落など、依然として厳しい状況にあります。
令和3年産米の米価下落の影響を受けた農業者に対しては、次期作の継続に向けた支援を行っているところですが、今後も米消費の減少が見込まれることから、新たに、主食用米から飼料用米への転換に町独自の上乗せ助成を行い、転作対応を支援します。
 また、地域農業を守るために中心的な役割を担っている農業法人に対し、農業従事者の新規雇用を支援するとともに、引き続き、新規就農者への支援、農業後継者の育成に取り組みます。
 さらに、農地の機能維持を図るため、新たに、農地を中間保有する組織が耕作放棄地を再生する取組を支援します。
 有害鳥獣対策につきましては、イノシシ捕獲に対する奨励金を拡充するとともに、狩猟期間における捕獲奨励金や地域ぐるみで行う鳥獣被害対策への取組を引き続き支援し、鳥獣被害に強い地域づくりを進めてまいります。


○林業振興について
 森林の公益的機能の維持、増進及び林業の発展につなげるため、森林の適切な管理を促す森林経営管理制度を、引き続き森林所有者の意向を確認しながら、計画的に進めます。
 また、成長産業として期待される林業の活性化を図るため、林業事業者による生産性向上のための機械整備を支援するとともに、林業に従事される方などが安心して通行できるよう、老朽化した林道橋の長寿命化を進めてまいります。


○水産業振興について
 本町の基幹産業である水産業は、水産資源の保全や担い手の確保といった課題に加え、現下の原油価格高騰により大変厳しい状況にあります。
本年度は、漁船の燃費向上のために行う船底等の清掃・塗装を支援するとともに、水産基盤施設の保全を図るため、田後港の老朽化したオイルタンクの更新を支援します。
 また、水産資源の維持・確保策としまして、漁場・藻場に被害をもたらす有害なウニの除去活動に対して支援するとともに、引き続き、稚貝・稚魚の放流やイワガキ成育環境の整備を支援します。
担い手確保対策につきましては、新規就業者の雇用支援を継続するとともに、関係機関と連携して、就業を希望される方の相談にきめ細かく対応するなど、引き続き漁業就業者の確保に努めてまいります。


○商工業・観光振興について
 感染拡大の長期化により地域経済が大きな影響を受ける中、これまで、感染防止対策や事業継続、業態転換の取組などに対して支援を行ってまいりました。
引き続き、事業継続のための給付金や観光キャンペーンなどにより、地域経済の回復に向けて事業者の皆様を応援するとともに、感染状況を見極めながら、必要に応じて更なる対策を検討してまいります。
 コロナ禍後を見据えた観光振興につきましては、変化する観光ニーズを的確に捉えながら、山陰海岸ジオパークの豊かな自然や美しい景観、地域特有の文化等を活かし、受入れ態勢や施設の充実などに努めてまいります。
さらに、2025年大阪・関西万博の開催を見据え、麒麟のまち観光局や観光協会などの関係機関と連携して、インバウンド対応や情報発信の体制を充実するとともに、山陰海岸エリアでの広域的な周遊観光の促進にも取り組んでまいります。


○行財政運営について
 令和4年度におきましては、税収の回復基調とともに、一般財源の確保に見通しが立ちましたが、新型コロナの影響は先行きが不透明な状況であります。今後も限られた財源の中で、急速に変化する社会情勢に適切に対応しつつ、住民サービスの向上を図るため、中期的な見通しを持ちながら、持続可能な行財政運営を行っていかなければなりません。
 本年度は、「新しい生活様式」の下、各種行政手続きの簡素化・効率化を図り、地域のデジタル化を推進するため、書類への押印の見直しやオンライン申請の導入を進めてまいります。コロナ禍がもたらした様々な社会の変化を前向きに捉えながら、全ての町民の皆様が笑顔で暮らせるまちづくりを目指し、職員一丸となって取り組んでまいります。