○岩美町の私債権の管理に関する条例

平成31年3月22日

条例第2号

(目的)

第1条 この条例は、町の私債権の管理に関する事務の処理について一般的基準その他必要な事項を定めることにより、町の私債権の管理の適正を期することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 町の債権 金銭の給付を目的とする町の権利をいう。

(2) 町の私債権 町の債権のうち、消滅時効について時効の援用を要する債権をいう。

(3) 私債権の管理に関する事務 町の私債権について、債権者として行うべき保全、徴収、内容の変更及び消滅に関する事務をいう。

(他の条例との関係)

第3条 町の私債権の管理に関する事務の処理については、他の条例又はこれに基づく規則に特別の定めがある場合を除くほか、この条例の定めるところによる。

(町長等の責務)

第4条 町長及び公営企業管理者(以下「町長等」という。)は、法令又は条例若しくはこれに基づく規則等の定めに従い、町の私債権の徴収に努めなければならない。

(台帳の整備)

第5条 町長等は、町の私債権を適正に管理するため、別に定める事項を記載した台帳を整備するものとする。

(督促)

第6条 町長等は、町の私債権について、履行期限までに履行しない者があるときは、期限を指定してこれを督促しなければならない。

(遅延損害金)

第7条 町長等は、前条の督促をした場合においては、当該私債権の額に履行期限の翌日から納付の日までの期間に応じ、民法(明治29年法律第89号)第404条に規定する割合を乗じた金額の遅延損害金を徴収する。ただし、契約に別段の定めがある場合は、その定めによる。

2 前項に規定する年当たりの割合は、閏年の日を含む期間についても365日当たりの割合とする。

3 町長等は、履行期限までに納付しなかったことについてやむを得ない事由があると認める場合においては、遅延損害金の額を減額し、又は免除することができる。

(強制執行等)

第8条 町長等は、町の私債権について、第6条に規定する督促をした後相当の期間を経過してもなお履行されないときは、次の各号に掲げる措置をとらなければならない。ただし、第11条に規定する徴収停止の措置をとる場合又は第12条の規定により履行期限を延長する場合その他特別の事情があると認める場合は、この限りでない。

(1) 担保の付されている町の私債権(保証人の保証がある町の私債権を含む。)については、当該債権の内容に従い、その担保を処分し、若しくは競売その他の担保権の実行の手続をとり、又は保証人に対して履行を請求すること。

(2) 債務名義のある町の私債権(次号の措置により債務名義を取得した町の私債権を含む。)については、強制執行の手続をとること。

(3) 前2号に該当しない町の私債権(第1号に該当する町の私債権で同号の措置をとってもなお履行されないものを含む。)については、訴訟手続(非訟事件の手続を含む。)により履行を請求すること。

(履行期限の繰上げ)

第9条 町長等は、町の私債権について履行期限を繰り上げることができる理由が生じたときは、遅滞なく、債務者に対し、履行期限を繰り上げる旨の通知をしなければならない。ただし、第12条第1項各号のいずれかに該当する場合その他特に支障があると認める場合は、この限りでない。

(債権の申出等)

第10条 町長等は、町の私債権について、債務者が強制執行又は破産手続開始の決定を受けたこと等を知った場合において、法令の規定により町が債権者として配当の要求その他債権の申出をすることができるときは、直ちに、そのための措置をとらなければならない。

2 前項に規定するもののほか、町長等は、町の私債権を保全するため必要があると認めるときは、債務者に対し、担保の提供(保証人の保証を含む。)を求め、又は仮差押え若しくは仮処分の手続をとる等必要な措置をとらなければならない。

(徴収停止)

第11条 町長等は、町の私債権で履行期限後相当の期間を経過してもなお完全に履行されていないものについて、次の各号のいずれかに該当し、これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認めるときは、以後その保全及び取立てをしないことができる。

(1) 法人である債務者がその事業を休止し、将来その事業を再開する見込みが全くなく、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるとき。

(2) 債務者の所在が不明であり、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるときその他これに類するとき。

(3) 債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認められるとき。

(履行延期の特約)

第12条 町長等は、町の私債権について、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その履行期限を延長する特約をすることができる。この場合において、当該債権の金額を適宜分割して履行期限を定めることを妨げない。

(1) 債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。

(2) 債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、その現に有する資産の状況により、履行期限を延長することが徴収上有利であると認められるとき。

(3) 債務者が災害、盗難その他の事故により、当該債務の全部を一時に履行することが困難となり、履行期限を延長することがやむを得ないと認められるとき。

(4) 損害賠償金又は不当利得による返還金に係る町の私債権について、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、弁済につき特に誠意を有すると認められるとき。

(5) 貸付金に係る町の私債権について、債務者が当該貸付金の使途に従って第三者に貸付けを行った場合において、当該第三者に対する貸付金に関し、第1号から第3号までのいずれかに該当する理由があることその他特別の事情により、当該第三者に対する貸付金の回収が著しく困難であるため、当該債務者がその債務の全部を一時に履行することが困難であるとき。

2 町長等は、履行期限後においても、前項の規定により履行期限を延長する特約をすることができる。この場合においては、既に発生した遅延損害金は、徴収すべきものとする。

(免除)

第13条 町長等は、前条の規定により債務者が無資力又はこれに近い状態にあるため履行延期の特約をした町の私債権について、当初の履行期限(当初の履行期限後に履行延期の特約をした場合は、最初に履行延期の特約をした日)から10年を経過した後において、なお、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、かつ、弁済することができる見込みがないと認められるときは、当該債権及びこれに係る遅延損害金を免除することができる。

2 前項の規定は、前条第1項第5号に掲げる理由により履行延期の特約をした貸付金に係る町の私債権で、同号に規定する第三者が無資力又はこれに近い状態にあることに基づいて当該履行延期の特約をしたものについて準用する。この場合における免除については、債務者が当該第三者に対する貸付金について免除することを条件としなければならない。

(放棄)

第14条 町長等は、町の私債権について、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該債権及びこれに係る遅延損害金を放棄することができる。

(1) 当該債権について消滅時効が完成したとき(債務者が時効の援用をしない特別の理由がある場合を除く。)

(2) 債務者である法人の精算が結了したとき。ただし、当該法人の精算につき弁済の責に任ずべき他の者があり、その者について第1号及び第3号から第7号までに掲げる事由がない場合を除く。

(3) 債務者が死亡し、その債務について限定承認があった場合、相続人全員が相続放棄をした場合又は相続人が存在しない場合において、その相続財産の価額が強制執行した場合の費用並びに他の優先して弁済を受ける町の債権及び町以外の者の権利の金額の合計を超えないと見込まれるとき。

(4) 第8条に規定する強制執行等の手続又は第10条に規定する債権の申出等の措置をとっても、なお完全に履行されない当該債権について、強制執行等の手続又は債権の申出等の措置が終了したときにおいて債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、資力の回復が困難で、弁済することができる見込みがないと認められるとき。

(5) 第11条に規定する徴収停止の措置をとった当該債権について、徴収停止の措置をとった日から相当の期間を経過した後においても、なお債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、資力の回復が困難で、弁済することができる見込みがないと認められるとき。

(6) 債務者が著しい生活困窮状態(生活保護法(昭和25年法律第144号)の適用を受け、又はこれに準じる状態をいう。)にあり、資力の回復が困難で、弁済することができる見込みがないと認められるとき。

(7) 破産法(平成16年法律第75号)第253条第1項その他の法令の規定により債務者が当該債権につきその責任を免れたとき。

(8) 債務者が失踪、所在不明その他これに準ずる事情にあり、徴収の見込みがないとき。

(議会への報告)

第15条 町長等は、前条の規定により町の私債権を放棄したときは、これを議会に報告しなければならない。

(委任)

第16条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則に定める。

この条例は、平成31年4月1日から施行する。

岩美町の私債権の管理に関する条例

平成31年3月22日 条例第2号

(平成31年4月1日施行)