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町長のコメント

所信表明

2021/12/21
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 私が今後の町政を進めていくうえで最も大切にしたいと考えていることは、「岩美町」が将来も残り続けていく、「岩美町」を残していくことであります。

 関西事務所長当時、市町村合併で故郷の町や村の名前が無くなって寂しいと言われる鳥取県出身の方の声を聞くにつけ、故郷に対する思いは、住んでいる人も、故郷を出られた方も同じであると強く感じました。平成の市町村合併の流れの中、単独自立を選択された町民の皆様の意志を大切に、先人が築かれたこの美しい郷土「岩美町」を次の世代に繋ぐことが私の使命であると考えています。

 私は町民の皆様に、「安全・安心のまちづくり」「少子高齢社会の中のまちづくり」「明日の子どもたちの笑顔のために」「産業の振興」の4つの柱をお示しし、まちづくりに取り組むと申し上げました。少子高齢化、人口減少が進む中、今後も厳しい財政状況が予想されますが、将来に過度の負担を残さないよう健全な財政運営を図りながら、町民の皆様との協働で、喫緊の課題である人口減少対策を中心に取り組んでまいります。


 最初に新型コロナウイルス感染症への対応について申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症は、私たちの暮らしや社会経済活動に大きな影響を与えています。町民の皆様の命と健康、暮らしを守り、この危機を乗り越えるため、ワクチン接種を含めた感染防止対策、生活支援、事業継続支援に引き続き取り組んでまいります。
 町民の皆様には、日々の感染防止対策をはじめ、地域活動等の自粛などのご協力をいただいており、改めて感謝申し上げます。本町でも多くのイベントを中止、延期し、飲食・宿泊をはじめとする外食産業や観光産業が大きな打撃を受けました。皆様のご協力により、感染者ゼロの日が続き、日常生活や観光面において回復の兆しが見えます。

 本町では、国の交付金などを活用し、感染防止対策や町民の皆様と町内事業者の皆様への支援を最優先に実施してまいりました。実施に当たりましては、町議会の皆様のご理解とご協力のもと、補正予算の専決処分や臨時会の開催などを通じ、迅速な対応に努めてきたところでございます。

 今後も、円滑なワクチン接種を推進するとともに、感染状況等を踏まえながら、観光協会や商工会などの関係機関の皆様と連携し、相談・支援の体制を整えるとともに、町民の皆様のお声を伺いながら、必要な施策を適切な時期に実施してまいります。

 次に、施策ごとの取組について申し上げます。



「安全・安心のまちづくり」について

 町民の皆様に岩美町に住み続けていただくためには、安全で安心して暮らせる環境を整えることが重要です。

 「地域包括ケアシステム」の拠点となる岩美病院につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大、公立病院等の再編統合問題など、その経営を取り巻く環境は大変厳しい状況にありますが、町民の皆様の命と健康と生活を守る「要」の施設として、引き続き、医師、看護師等の確保や診療体制の充実を図り、信頼される病院づくりを進めます。

 共助の中心となる集落につきましては、以前に比べて近所付き合いが薄れ、見守りや助け合いといった基本的な集落機能の低下が危惧されます。町民の皆様が互いに支え合いながら住みよい地域を築いていく「地域共生社会」の実現に向け、相談体制・支援体制の充実を図り、孤独死のないまちを目指します。

 災害への対応につきましては、近年、全国で大規模な自然災害が多発していますが、いつどこで発生しても被害を最小限に抑える必要があります。災害時にお互いの安否確認や助け合いができるよう、自主防災組織の立上げや「支え愛マップ」づくりなどを支援しますとともに、防災資材や避難路の整備を推進し、集落の実情に沿った支援に取り組みます。

 最も身近で重要な社会基盤である道路につきましては、安全性や利便性の確保と災害対応の強化を図るため、町道の適切な維持管理、計画的な改良等を行うとともに、引き続き、国や県と連携して国道・県道の整備促進を図ります。

 環境対策につきましては、東部広域行政管理組合が整備している可燃物処理施設「リンピアいなば」が令和4年度から稼働する予定となっております。引き続き、町民の皆様のご協力をいただきながらごみの減量化を推進するとともに、再生可能エネルギーの導入を支援します。


「少子高齢社会の中のまちづくり」について

 少子高齢社会において、町税等の自主財源は、年々減少していくことが予想されます。町民負担が増えないよう、中期的な財政見通しを持ちながら健全な財政運営に努め、これまで行ってまいりました介護保険料の軽減や高齢者世帯等への上下水道料金の減免などの負担軽減を継続します。

 高齢社会への対応につきましては、高齢者の方に住み慣れた地域で心身ともに充実した暮らしを続けていただくため、地域におけるサークル、サロン、老人クラブなどの活動を支援し、生きがいづくりや健康づくりを進めるとともに、認知症の早期発見やご家族の支援に取り組みます。
 また、日常生活において移動手段を持たない高齢者の方などが町内のどこに住んでいても移動しやすいよう、町内バス料金の均一制を検討します。

 移住定住対策につきましては、進学や就職で岩美町を離れた若者のUターンを推進するため、Uターンする若者を雇用する町内企業への支援を検討するとともに、現在行っている引っ越し費用の助成などにより、町外からの移住の促進に取り組みます。
 また、定住促進を図るためには、住宅の整備が必要です。町営住宅の計画的な建て替えや住宅リフォーム工事費助成の上限額の見直しとともに、現在、山陰近畿自動車道浦富インターチェンジの開通などにより町内で進められている宅地造成、住宅新築を一過性のものとしないよう支援策を検討します。空き家の利活用においても、町へ登録された空き家の固定資産税の軽減など利活用が進むよう努めるとともに、空き家撤去後の固定資産税の負担軽減期間の延長により、放置された空き家を減らし、住居確保策とあわせて、より良い仕組みとなるよう検討します。


「明日の子どもたちの笑顔のために」について

 次代を担う子どもたちが笑顔でのびのびと成長できるよう、「子育てがしやすいまちづくり」に取り組み、子育てするなら「岩美町」と子育て世代に選ばれるまちを目指します。

 子育て支援につきましては、子育て支援センターを拠点として、子育ての相談や講座の開催などによる支援を行っておりますが、分かりやすい相談体制の整備など子育てに関する施策の更なる充実を検討するとともに、子育てに関するニーズを把握するため、世代別・階層別のアンケートを実施し、町民の皆様のお声を伺いながら協働して施策づくりを進めます。
 また、妊娠期から就学までの支援として、引き続き、出産までの経済的な負担や保育料を軽減するとともに、保育士の加配や保育所の改修など保育環境の充実に取り組みます。

 教育につきましては、「まちづくりは人づくり」の理念を継承し、教育のまちの実現を目指します。
 家庭の経済状況によって子どもの学力に差が生まれないよう必要な支援を行うとともに、高度情報化の進展に対応する力を身に着けられるよう、小中学校のICT推進員や情報機器を活用した情報教育を進めます。

 人権尊重につきましては、近隣市町とも連携しながら学習機会の充実を図り、全ての人の人権が尊重される共生のまちづくりに取り組みます。
 また、町内唯一の高校である岩美高校の存続に向けては、学校や同窓会などの関係団体と協議を進め、必要な支援を行います。


「産業の振興」について

 町内産業が持続・発展するためには、担い手となる人材の確保が必要であります。地域おこし協力隊制度等を活用し、農業や漁業、商工業の担い手、後継者の確保に努めます。
 また、町内での創業や新しい事業にチャレンジする企業、個人を応援し、産業全体の振興に取り組みます。

 農業につきましては、イノシシやシカなどの有害鳥獣対策に取り組むとともに、今年の米価下落の影響で農業離れが進まないよう、農業関係団体や県などと連携して対策に取り組みます。

 漁業につきましては、新規就業者の雇用支援とともに、漁船の更新や省エネ機器の導入の支援、漁場の保全など、経営の安定化に向け、関係機関と連携して取り組みます。

 観光につきましては、「海」「山」「温泉」の豊富な資源を活用したこれまでの観光に加え、山陰海岸ジオパークの豊かな自然や美しい景観を活かしたマリンアクティビティが国内外問わず人気となっています。
 また、4年後の大阪万博では多くの訪日外国人(インバウンド)が日本全国を巡るといわれております。この機を捉え、多言語に対応する施設整備などを進め、受け入れ態勢を充実します。
 コロナ禍で疲弊している観光産業の振興を図るため、変化しつつある観光ニーズを的確に捉えながら、観光協会などの関係団体と連携して情報発信を強化し、誘客促進に取り組みます。


 以上、私の所信を申し上げました。申し上げました課題のほかにも多くの課題がございますが、第10次総合計画の仕上げとして各施策の総点検を行いながら、第11次総合計画の策定を進めてまいります。限られた財源の中、施策に優先順位を付け、町政を一歩ずつ前に進めるとともに、子どもたちが夢を語ることができ、全ての町民の皆様が笑顔で暮らせるまちを次世代へつなげるよう取り組んでまいりたいと考えます。

 議員各位をはじめ町民の皆様の深いご理解とご協力を重ねてお願い申し上げます。


令和3年12月

岩美町長 長戸 清

 

 

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町長交際費

2024/03/14

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