四種混合ワクチンのついて
 四種混合ワクチンは、「百日咳」「ジフテリア」「破傷風」「ポリオ(急性灰白髄炎)」の四つの混合ワクチンです。

 「百日咳」とは、百日咳菌の飛沫感染(ウイルスや細菌が咳やくしゃみなどにより、細かい唾液や気道分泌物に包まれて空気中に飛び出し、約1メートルの範囲で人に感染させること)で起こります。
 症状は、普通の風邪症状で始まります。続いて咳がひどくなり、顔を真っ赤にして連続的に咳き込むようになります。咳の後に急に息を吸い込むので、笛を吹くような音が出ます。熱は通常出ません。乳幼児は咳で呼吸ができず、唇が青くなったり、けいれんが起きることがあります。肺炎や脳症などの重い合併症を起こします。乳児では命を落とすこともあります。

「ジフテリア」とは、ジフテリア菌の飛沫感染で起こります。
 予防接種により、現在では患者発生数は年間0~1人程度です。ジフテリアは感染しても10%程度の人に症状が出るだけで、残りの人は症状が出ない保菌者となり、その人を通じて感染することもあります。
 感染は主にのどですが、鼻にも感染します。症状は高熱、のどの痛み、犬吠様の咳、嘔吐などで、偽膜という膜ができて窒息死することもあります。発病2~3週間後には菌の出す毒素によって心筋障害や神経麻痺を起こすことがあるため注意が必要です。

「破傷風」とは、破傷風菌はヒトからヒトではなく、土の中にいる菌が、傷口からヒトの体内に入ることで感染します。菌が体内で増えると、菌の出す毒素によって口が開かなくなったり、けいれんを起こしたり、死亡することもあります。患者の半数は気づかない程度の軽い刺し傷が原因です。土中に菌がいるため、感染する機会は常にあります。

「ポリオ(急性灰白髄炎)」とは、「小児マヒ」と呼ばれ、わが国でも1960年代前半までは流行を繰り返していましたが、現在は、予防接種の効果で国内での自然感染は報告されていません。しかし、現在でもインド、パキスタン、アフリカの一部などではポリオの流行があることから、これらの地域で日本人がポリオに感染したり、日本にポリオウイルスが入ってくる可能性があります。また、2005年には、いったんは野生ポリオウイルスによる発症者の報告がなくなったインドネシアにおいて、再びポリオが流行するという事態が生じています。
 ポリオウイルスは、ヒトからヒトへ感染します。感染したヒトの便中に排泄されたウイルスが、口から入りのどまたは腸に感染します。感染したウイルスは3~35日(平均7~14日)腸の中で増えます。しかし、ほとんどの場合は、症状が出ず、一生抵抗力(終生免疫)が得られます。症状が出る場合、ウイルスが血液を介して脳・脊髄へ感染が広がり、麻痺を起こすことがあります。ポリオウイルスが感染すると100人中5~10人は、カゼ様の症状があり、発熱を認め、続いて頭痛、嘔吐があらわれ麻痺症状が進行します。また、感染した人の中で、約1,000~2,000人に1人の割合で麻痺を起すことがあります。一部の人には、その麻痺が永久に残ります。

副反応について
 1981年(昭和56年)に百日咳ワクチンが改良されて依頼、日本のワクチンは副反応の少ないワクチンになっています。
 副反応としては、注射部位の発赤・腫れ・しこりなどの局所反応が主で、初回接種1回目のあと、7日目までに約12.7%、追加接種後7日目まで約40%です。DT接種後は7日目までに29%認められました。なお、しこりは少しずつ小さくなりますが、数ヶ月残ることがあります。特に過敏な方で肘をこえて上腕全体が腫れた例が少数あります。
通常高熱は出ませんが、接種後24時間以内に37.5℃以上になった方が0.1~0.4%あります。重い副反応はなくても、機嫌が悪くなったり、腫れが目立つときなどは医師にご相談ください。
 不活化ポリオワクチンの国内臨床試験でみられた副反応は、注射部位の症状として疼痛(痛み)、紅斑(赤み)、腫脹(腫れ)などの全身の症状として発熱(37.5度以上)、傾眠状態(うとうとした状態)、易刺激性(刺激に対して反応しやすい状態)などです。
 また、非常にまれですが、ショック、アナフィラキシー様反応(通常接種後30分以内に出現する呼吸困難や全身性のじんましんなどを伴う重いアレルギー反応のこと)、けいれん等の重大な副反応が生じる可能性があります。このような症状が認められたり、疑われたりする場合は、すぐに医師に申し出てください。

予防接種を受けたあとの注意事項
 予防接種を受けたあと30分間は、接種会場でお子さんの様子を観察するか、医師とすぐに連絡をとれるようにしておきましょう。急な副反応はこの間に起こることがあります。
 四種混合は不活化ワクチンです。接種後、1週間は副反応の出現に注意しましょう。
接種部位は清潔に保ちましょう。入浴は差し支えありませんが、わざと接種部位をこすることはやめましょう。
 接種当日は、はげしい運動はさけましょう。